起業前に知っておきたい|赤字決算のメリットとデメリット

起業前に知っておきたい|赤字決算のメリットとデメリット

「赤字決算は絶対ダメ」と認識していませんか。イメージは悪いかもしれませんね。

しかし赤字だからといってすぐ倒産とはなりません。とくに起業して間もない会社は、「創業赤字」という言葉があるぐらい黒字にすることは困難です。そのため、起業前に赤字決算について知っておきましょう。

また赤字決算は、節税をするために有効な手段です。デメリットだけではありません。

今回は赤字決算のメリットとデメリットについて説明します。

赤字決算とはなにか

赤字決算は、ある一定の期間において支出が収入を上回っている状態のことです。支出が収入より多い状態が続くと、手元の現金は減り続けますよね。そして最後は債務超過で倒産と考えてしまいませんか。

しかし赤字決算は、ある期間において赤字であることを示しているだけです。その期において収支がマイナスでも、すぐに資金ショートを起こして倒産するわけではありません。

実際に国税庁が2019年2月に公表した「国税庁統計法人税表」(2017年度)では、赤字法人率は66.6%でした。6割以上の企業が赤字決算です。しかし、状況によって赤字の解釈は変わります。

例えば「一過性の赤字」。災害などによる製造ライン停止、多額の設備投資など、突発的な赤字とみなされる場合です。状況が改善すれば黒字化するだろうと判断されます。

そして「返済に問題がない先」。融資を返せる根拠があれば明確にあれば問題ないでしょう。

一言で赤字といっても状況が違います。そのため全てが悪いわけではありません。

赤字決算のメリット

赤字決算にメリットはあるのでしょうか?どうしてもイメージはよくないですが、大きく2点あります。こちらでは詳しく紹介します。

赤字分を翌期以降に繰り越して相殺できる

税務上の赤字のことを「欠損金」と言います。そして税務会計上では、この欠損金を次の期に繰り越すことが可能です。これを「繰越欠損金」と呼び、欠損金が生じたような会社を救済する性質を持っています。

法人の課税は利益に対して課されるので、赤字の場合は課税されません。翌期以降黒字でも繰越した赤字は課税所得から控除できます。そのため、翌期以降の法人税も抑えることが可能です。

ただし繰越欠損金は、繰越できる期間が定められています。「平成30年4月1日以降に開始する事業年度で生じた欠損金」については、最大で10年間繰越することが可能です。欠損金が生じた年度によってこの期間は変わります。必ず確認しましょう。

また、繰越欠損金制度は無条件には使えません。条件は、青色申告の届出と法人税の申告を期限内に行うことです。必ず守ってください。

しかし、毎期が赤字では累積の欠損金は減りません。むしろ増大してしまい超過債務になります。そのため、どこかでは利益を出す会社にしましょう。これから起業を検討されている方は注意してくださいね。

法人税の支払いを最小限にできる

法人税は利益に対して課税されます。そのため赤字決算、つまり収支がマイナスの場合は、利益がないので最低限の費用で済みます。例えば東京都の場合、この最低限の費用は7万円です。これは大きなメリットと言えるでしょう。

そのため費用や経費をできるだけ計上し、赤字決算にしようとする中小企業は少なくありません。これが節税対策にもなるからです。

客観的に見ると赤字経営は、いい状態ではありません。しかし上手くコントロールすることで節税効果を期待できることは事実です。ただし露骨な赤字決算は税務署の調査を受ける可能性もあるので注意してください。

起業した時から節税のための赤字決算に意識が向くのはよくありません。事業はボランティアではなく、利益を出すことが目的です。「納税しなくてよかった」と喜んでいる場合ではなく、むしろたくさん納税してやろうと考える方がいいでしょう。

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赤字決算のデメリット

デメリットは何でしょうか。ここでは、詳しくご紹介します。

金融機関の査定が下がる

銀行から融資を求めるとき、赤字決算だと返済能力が疑われて融資が下りないことがあります。これは赤字決算の大きなデメリットです。

銀行もボランティアではないので利益を出さなくてはなりません。だから赤字が続いている企業にお金を貸しませんよね。

2期連続で赤字決算となると格付けが下がります。そして一度下がった格付けは、翌期で黒字を出したとしてもすぐに上がるわけではありません。

赤字決算により金融機関の査定が下がると銀行からの融資を受けられず、資金ショートによる倒産のリスクが高まります。

赤字決算により一時的な節税をできるかもしれませんが、長期的には事業存続を危ぶまれるデメリットがあることは覚えておきましょう。

赤字決算のイメージは悪い

金融機関からだけでなく投資家や取引先からのイメージも悪くなります。

そうなると取引条件に影響が出てしまうケースも。例えば決算内容が悪い企業は現金取引しか認めてもらえないこともあるのです。仕入れるときに現金で支払わないとならなくなり、通常の取引完了後1~3ヵ月後に支払いを認められません。

これは、赤字決算により倒産のリスクがあると見られているからです。赤字といってもいくつか状態があることを説明しましたね。しかしイメージが先行し、赤字決算というだけで不信感を持つ人が出てしまうことも事実です。

創業からいつまでたっても収益が伸びず、赤字が恒常的になっている場合は、相当深刻に受け止める必要があります。

それに従業員も仕事に対するモチベーションを下げてしまうでしょう。経営者はどうして赤字決算なのかを説明する義務があります。しかし、正当な理由がなければ士気が落ちてしまうでしょう。これでは売上アップも難しくなりますよね。

いつまでも赤字決算を続けていていいわけがありません。打破できるように経営者は考えるべきです。

起業後の赤字決算

ここまで赤字決算のメリットとデメリットについて説明しました。それではとくにこれから起業を検討している人が、知っておくべき赤字決算は何でしょうか。起業後の赤字決算に焦点を絞ってポイントを説明します。

創業赤字について

創業時は投資が多く、一期目から黒字になる事業は多くありません。設立から5年以内で当初から合理的な事業計画であること、そして5年以内には黒字化するのではないかと見られる場合を創業赤字と言います。

そのため、赤字であっても当初の事業計画から大きく乖離していなければ、金融機関から正常と判断されます。

どんなに優良企業でも創業当初は赤字になってしまうことは多いので、1年目から黒字を出さなくてはならないプレッシャーを感じる必要はありません。

しかし安心はできません。創業赤字とはいえ赤字に違いはないので、いつ解消されるのかを示すことが必要です。長期経営計画書を早急に作成し、金融機関に見せましょう。

また事業計画に無理がないことも大切です。経営に負担がかかるような計画、例えば資本金に対して従業員数が多かったり、高額な家賃であったりする計画はやめましょう。

信用評価を上げて事業を成長させるには、事業収益を上げて黒字決算にすることが大事です。

赤字決算をうまくコントロールすれば節税対策になる

赤字決算は節税対策になります。法人税の支払いを減らしたり、赤字分を繰り越すことができるからです。

しかし、赤字経営による節税はあくまでも「儲かっている会社」に限定されることは注意が必要です。起業直後はそこまでの暇は実際ないかもしれません。赤字決算だから節税できると考えるのではなく、どれだけ利益を出せるかを考える方が重要でしょう。

ある程度までビジネスが軌道に乗り、内部留保をして潤沢な現金が貯まり、資金繰りにそこまで苦労しなくなったら節税対策として考えるといいかもしれません。

そのため、赤字決算にして節税をするのは、稼いだ後にやることだと理解しましょう。下手に節税対策を考えると、会社を潰すことにもなりかねません。

コントロールは簡単ではないので、注意しましょう。

起業前に赤字決算について知っておこう

どうしても創業当初は赤字になりやすいです。この赤字がどのようなものなのかを理解する必要があるでしょう。そのためには赤字がどのようなものかを知っておくべきです。

しかし自分ひとりで学ぶことは大変ですよね。そこで税理士に創業時の資金繰りや決算について相談すると解決するでしょう。わからないことを聞けるので安心ではないでしょうか。

またそこで、節税対策について聞いてみるのもいいでしょう。確かにインターネットにはさまざまな情報があります。しかし、プロに聞くのが一番早くて確実です。

これから起業を検討されている方にはおすすめです。ぜひ検討してください。

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